ザリガニを釣る夢をみる

セピア猫の日記。日常のこと、家族のこと、感覚的なこと。

喜嶋先生の静かな世界と、気になる女の子

こんにちは、セピア猫です。

突然ですが、私、森博嗣さんの本が大好きです。学生の頃からファンです。

久しぶりに、「喜嶋先生の静かな世界」を読みました。

なんだろう、じーん、ざわざわ、胸がぐーっとなる……そんな気持ちになりました。

 

この装丁もすごく素敵ですね。

 

僕の視点で読んでいくと、喜嶋先生がすごくかっこいい、理想の人に見える。

純粋に学問に打ち込むってこんなにかっこいいことなんだなって、憧れる。

最初に読んだ時はそういう感想を持ったのだけれど、今回読んでみて、私はそこよりも、一人の女性に目が行きました。

 

女性は3人(スピカさん、櫻居さん、沢村さん)登場するのですが、一番気になったのは、櫻居さん。なんだろう、ほっとけない系女子だからか。

超優秀なんだけど、どこかメンヘラちっくというか、弱さのある女の子。そういうところに、この感じわかるーって思う。こういう女の子いるよね、自分にもこういう部分あったよねって。

主人公やその周囲の理系男性たちからしたら解読不能でめんどくさいだろうし、そのように扱われるんだけど(悲しい)、でも同じ女性として、そうだよね、苦しいよねって隣で話したくなる感じ。

橋場くんもなんとなく察しているけど、この子、すごく不安定なんです。大学院の入試はトップで通るくらい優秀で、美人なんですけど(そういう描写があったはず)、自由に振る舞えていないというか、男性社会の中でとにかくもがいている。

院生8人の部屋に一人だけ女性で、それまで女性がいなかったから彼女のために掃除がなされたというエピソードもありました。そんな環境で、一生懸命居場所を作ろうともがいている。年上の男性に惹かれるって言うのも、拠り所が欲しかったんだろうなって思う。

でもガッツリ甘えることはできなくて、中途半端に過去を出して、橋場くんに引かれる。しっかりしないとって強がって生きている女性あるあるじゃないですか?

ジェンダーへの不満で表現しないで、自分が悲しい、辛い、と言えたら、少なくとも自分でその感情を感じられたら違ったんじゃないかなって思います。乗り越えてぶつかった上で寄り添える人と出会えればよかったのにね。

スピカちゃんと対照的です。

僕=橋場くんは、素直で健気なスピカちゃんだけでも恋愛キャパシティはいっぱいいっぱいだから、そんなの無理な話なんだけど。

櫻居さんが数年で離婚したのは、勝手な想像だけど、本心でぶつかれない人と結婚してしまったのかなって思ったり。

その後で橋場くんと会って、かつて同じ環境にいた、(一方的だけど)ライバルだった、自分よりもっと浮世離れしていた橋場くんが、今では結婚して子供もいて、ちゃんと家庭人をしているのをみて、少なからずショックだったんじゃないかなって思います。

だから、それ以降連絡が取れなくなったんじゃないかな。

 

森博嗣さんも、大学生の指導をしながら、理系社会にいる不器用女子をたくさんみてきたのでしょうか。ああ、こういう子いる!私にもそういうところある!ちょっとあまり直視したくないけど!という感じでした。

私は女の子の味方でいたいなあ。なるべく素直に生きられるよう、もっと楽に生きられるように、自分もなりたいし、苦しい思いをしている女の子が減るといいなと思います。